治療効果に対するQ&A

 

Q:はり・灸治療では、どのような効果が得られますか?


A:とくにホルモンバランスの崩れや自律神経の失調が妊娠過程に悪影響を与えている場合、その改善に有効と思われます。
 排卵も有る、卵管、卵管采にも問題が見つからなかったのに原因が良く判らないが妊娠しない、という場合には鍼灸治療受けてみるべきだと思います。当院の最短例ですと、月の中旬に頭痛と4年間妊娠しなかった2人目不妊で来院され,鍼灸治療を受けた患者さんが翌月に妊娠を確認した例があります。更年期障害は自律神経、ホルモンバランスの失調が深く関わっているとされる疾患ですが,更年期障害の関節痛、ホットフラッシュ、疲労感、無気力などの症状に対し鍼灸治療は非常に有効です。そのことなどから、恐らく不妊の中には自律神経やホルモンバランスの失調が着床になんらかの影響を与え、着床が上手くいかない場合が有り、それを鍼灸治療により改善出来たのだと思われます。明確な問題が見つからないのに着床してくれない、そのような方には鍼灸治療を強くおすすめします。

 

Q:FSHがとても高いのですが、鍼灸治療で下げることは出来ますか?

A:突然高くなったのであれば下がった例もあります。持続的に高いと、下がった例は現在のところ有りません。ただ30代でFSH値が持続的に高い場合や、「今回突然高くなった」という場合では当院では結果的に皆、無事出産に至っております(治療未継続の患者さんは未確認)。ただそれも現時点での話であり、出産された方もすんなり出産に至ったわけではありません。40歳を過ぎ、持続的に高いとハードルは非常に高くなります。


Q:高齢の為、卵子の質が悪く、受精卵を培養しても途中でダメになってしまいます。鍼灸治療で卵子の質の改善は出来ますか?


A:現在のところ卵子の質の明確な大きな改善は出来ていません。30代ですと良い結果が出た時も有りますが、毎回ではありません。大規模な比較試験をするとどの様な結果が出るか判りませんが、現在のところ特に40歳を過ぎた患者さんでは明らかな改善は得られていません。40歳を過ぎると妊娠後、流産する場合も増え、日本産婦人科学会が出す40歳での流産率と大きな差は、当院ではみられていませんので、年齢による卵子の劣化には大きな効果は得られていません。
ただ鍼灸治療により着床しやすくなることは間違いないようです。流産を経験しながら無事出産された患者さんもおられます。当院では現在のところ42歳で妊娠、その後無事に出産(初産)が最高齢となります。

 高齢で受精卵の質に問題がある場合、劇的な改善を期待できる方法は現在は無いようです。食事、生活の改善、軽度の運動などで改善出来るマイナスのアドヴァンテージを省くのと同じように、鍼灸治療でより健康な身体にし、小さなアドヴァンテージを積み上げていくという治療になります。


Q:不育症に鍼灸は効果は有りますか?


A:現在のところ多くは有りませんが、不育症の患者さんも来院され結果的に無事に出産されております。ただし皆、西洋医学の治療も受けながらの為、鍼灸単独による効果は、はっきりしません。
中国では効果が有るとされる報告は有ります。また古典の中では流産(不育症)に対する治療は出てきます。鍼灸治療がどの程度役立っていたかは、はっきりしませんが、不育症を専門とし研究しておられる産婦人科医師が不育症の原因が一つではない場合も多いと言われ、不安によるストレスも大きな要因の一つと考えられるとされています。鍼灸治療により精神的ストレスによる不眠、脱毛、頭痛、肩こりなどが改善するのは確かですので、精神的ストレスに対する効果は得られている可能性は考えられるのは確かです。


Q:男性原因の不妊に鍼灸治療は効果は有りますか?

A:男性の不妊治療での来院はそれほど多くないのですが、突発性男性不妊症(原因不明の造精機能障害)に対しては皆、改善効果がみられています。特に体調を崩しやすい、残業や夜勤が有るという場合は是非、治療をうけてみるべきだと思います。